輸血療法とは?
輸血というと、交通事故や大きな手術の際にするもの、という印象が一般的ではないでしょうか。お産のときに輸血を受けた、という方もいるかも知れません。
自身で「血液をつくることができなくなる」ことを、「造血不全」と呼びます。白血病・骨髄異形成症候群(MDS)・多発性骨髄腫などの血液がんや、再生不良性貧血などは、造血不全を合併する代表的な病気です。また、がん細胞が血液を作る臓器(骨髄)に転移・浸潤した場合にも、造血不全がおこることが知られており、血液がんである悪性リンパ腫、固形がんである前立腺がんなどでしばしばみられます。
このような場合は、症状の改善を目的に、身体に最低限必要な血液の成分を輸血で補うことがあります。これを輸血療法と呼びます。
造血不全になると何が問題なの?
血液には主に、白血球・赤血球・血小板という成分が含まれています。
赤血球はヘモグロビン(Hb)という成分でできており、ヘモグロビンが不足している状態は「貧血」と呼ばれます。貧血が重度(Hb 7〜8g/dl未満)になると、体を動かした際の息切れやたちくらみといった症状が出ます。重度になると心臓に負担がかかり心不全や意識障害の原因となります。
血小板が不足すると、「出血傾向」があらわれます。ある程度以上血小板が減少(血小板 20,000/µl未満)すると、ちょっとした打撲でも皮膚に紫色のあざができたり、血が止まりづらい症状が出現します。重度になると「脳出血」や「肺出血」などの生命に関わる重篤な出血を起こすことがあります。
このような貧血・血小板減少状態の患者さんには、輸血療法を行うことで、症状の改善が期待できます。
輸血はどのように行うの?
駅やショッピングモールなどで、献血をよびかけているところを目にされたことがあるでしょうか。国内で行う輸血には、これらの供血者の方々から提供された献血を用いて製造された輸血製剤を用います。もととなる献血から必要な成分を抽出し、様々な処理をして作られた輸血用血液製剤は、日本赤十字社より医療機関に提供されます。
貧血の患者さんには「赤血球輸血」を、血小板減少の患者さんには「血小板輸血」を行います。
患者さんごとに血液型が異なりますので、血液型のあった、患者さんに適合する輸血製剤を慎重に選定し、患者さんに点滴します。
輸血はどこで行うの?
通常初めて輸血をおこなうときは、病院の外来や入院で行います。ただし、造血不全の患者さんには、1ヶ月に何回といったように定期的に輸血を要する方がおられます。こういった患者さんは、定期的に通院することや、長期的な入院を行うことが必要になります。輸血のための頻繁な外来通院が体力的につらい、長期の入院を避けたい、という患者さんもおられることと思います。
造血不全の患者さんのうち、それまで行っていた輸血が特段の副作用なく安全にできていた方に関しては、在宅輸血という選択肢があります。
病院にいかなくても、輸血を受けられる
在宅輸血という選択肢。
わたしたちのクリニックでは、十分に安全性に配慮し、医療者同士で綿密に連携を取ることで、それまで病院で行っていた輸血を、安心して在宅で継続して行えるように取り組んでいます。
連携されている訪問看護ステーション、入居されているご施設により、在宅輸血をお受けできないこともありますが、まずは当院までご相談ください。現在みていただいている、主治医の先生経由でも承ります。
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